【試乗記】 メルセデス・ベンツ E 200 アバンギャルド スポーツ

試乗車の概要
車名 | Eクラス |
グレード | E 200 アバンギャルド スポーツ |
駆動方式 | FR |
トランスミッション | 9速AT |
型式 | DBA-213042C |
排気量 | 2.0リッター(ターボ) |
最高出力 | 184ps/5500rpm |
最大トルク | 30.6kgf・m/1200-4000rpm |
車両重量 | 1700kg |
車両本体価格 | 727万円(税込) |
試乗日 | 2016年8月3日 |
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2016年7月にフルモデルチェンジされた、
メルセデス・ベンツの新型Eクラスに試乗した。
以下に率直なインプレッションを述べる。
●関連記事
・メルセデスベンツ Eクラス モデルチェンジ情報
・【試乗記】 メルセデス・ベンツ E 200 アバンギャルド
試乗インプレッション
【注意!】当ブログの試乗記の見方について
動力性能・・・★★★☆☆
まずは発進の挙動から。
ゆっくりブレーキを緩めると、
弱めのクリープでなめらかに動き出す。
そしてアクセルの踏み込みに対しても
繊細に加速を開始する。
下品な飛び出し感などは皆無だ。
動き出した時の感触はもちろん、
クルマに乗り込んでシートに
身を預けた瞬間から重厚感が伝わってきて、
まさに「高級車」といった感じのする
発進の感触だった。
そして、
発進直後から中速域までの加速。
車重がそれなりにあるので
軽快という感じは無いが、
アクセルワークに対して違和感のない、
リニアでなめらかな加速で問題なし。
今回9速ATが採用されているが、
加速時の変速もなめらからで段付き感もなく、
自然でシームレスなフィーリングだ。
ダイレクト感に関してはBMWの8速ATの方が
強い気がするが、今回のEクラスの9速ATは
ダイレクト感よりもアクセルを踏んだ時の
「なめらかさ」がより優先されたような
感触だと感じた。
まぁ「この9速ATが目当てでEクラスを選ぶ」
というほどの優位性があるわけではないが、
これはこれで、まぁよく出来てると思う。
平地での急加速についても、
アクセルワークに対してターボラグのような
不自然な遅れを感じさせないレスポンスで
加速体勢に入ることができた。
低回転域からしっかりトルクが感じられ、
なかなかの好感触だ。
と、まぁここまでは当り前ですね、
天下のおベンツ様のEクラスですから。(^o^)
さぁ、お次はいつもの急坂だ。
ここでの急加速を試してみたところ、
そんなに深くアクセルを踏み込まずとも、
不足を感じない程度の加速が得られた。
(エンジンが何千回転ぐらい回っていたかは、
メーターパネルの表示が設定でナビになっていて
タコメーターの表示が無かったため
わからなかった)
まぁでも、
スペックからお察し頂けるとは思うのだが、
決して急坂でパンチのある加速が出来るほどの
動力性能は無い。
あくまでも、不足はない、というレベル。
ただ、、、
このクルマはEクラス。
フツーのクルマなら別に気にしないが、
走りの重厚感といい、
「ゆとりを愉しむと」いうのも、
この種のクルマに求められる
要素の1つだと思うので、
そういう意味ではちょっと物足りない。
ドライブモードを切り換える装備、
「ダイナミックセレクト」でスポーツモード
にすれば印象も多少変わるのかもしれないが、
今回は特に試さなかった。
俺様がEクラスに求めるのはそこじゃないんで。
あと、ハンドリングに関しては
ステアリングシステムの制御の介入が適度で、
少なくとも街乗りレベルの走行では違和感なく、
大きな車体をスイスイと操れる。
S字カーブを抜ける際、
ステアリングの切り返し操作が
忙しくならない程度にギア比が制御され、
でも決してクイック過ぎず、
ラクに走り抜けることができた。
乗り心地・・・★★★★☆
荒れた路面を通過した時の印象としては、
「よく足が動いてるなぁ」というのが第一印象。
サスが路面の凹凸に素早く対応し、
車体の急な上下動がかなり抑えられているのが
ステアリングやシートを通じて伝わってくる。
無駄な横揺れもほとんどない。
そして、
荒れた路面を通過する時に
ボディが発するドラミング音からは、
耳に届くその音の伝わり方で
造りの重厚さが感じられる。
とまぁ、そんなわけで、
乗り心地としては良いと思う。
悪い部分を挙げろと言われても、
少なくとも街乗りでの走行では
特に悪い部分は見当たらない。
Cクラスの乗り味とは明確に異なり、
サルーンとしてのしなやかな足回りに
仕上がっていると思う。
じゃあ5つ★にしてもいいのでは?
という声もあがりそうだが、
評価としては4つ★とさせて頂いた。
というのも、
今回試乗したグレードはタイトル及び冒頭で
記載している通り「スポーツ」なわけだが、
スポーツを感じる足回りではなかったから。
スポーティーな感触を求める人には、
刺激の物足りない乗り心地だと思う。
ステアリング操作に対する応答、
ボディの動き、路面に張りつく感じなど、
運転中にドライバーが受け取る様々な
インフォメーションが常にマイルドなので、
「操る楽しさがあるか」という観点では
面白味に欠ける気がした。
スポーツを感じるためには、
もう少しダイレクト感が欲しい。
ところで、
このクルマは19インチのホイールを
履いているのだが、上記の通り、
とても19インチを履いてるとは
思えない乗り心地のなめらかさだ。
なので、
「スポーティーな乗り心地を
求めているわけではないが、
見た目はスポーティーな方がいい」
という人には
ピッタリなグレードかもしれない。
まぁ俺様としてはそれもどうかと思うのだが。(^^;
(理由は「総評」にて後述)
ってゆーか、逆に、
19インチでこの乗り心地なら、
17インチを履くベースグレードなら
さらにサルーン的な極上の乗り心地が
得られるかもしれない。
あくまでも想像だが。
なので、
今回の「スポーツ」に試乗したことで、
むしろベースグレードの乗り心地への
期待が高まった感じだ。
ぜひ後日ベースグレードにも試乗して、
乗り心地を確かめたいと思う。
居住性・・・★★★★★
最初に、
今回乗った試乗車にはオプションの
「レザーパッケージ」が装備されていたため、
シートはオプションの本革シートだったことを
あらかじめお伝えしておく。
まず運転席に座った感じとしては、
シートのサイズがたっぷりと余裕があり、
それでいてちゃんとホールド感もあり、
いかにも「上等なクルマに乗っている」
という雰囲気が感じられる。
ドライビングポジションを合わせる際も、
ステアリングとシートの調整幅がたっぷりあり、
すべてにおいて余裕がある。
そして、
運転席を俺様(身長180cm)の
ドラポジに合わせた状態で、
後席のスペースを確認してみた。
ヒザ周りは当然ながら余裕たっぷり。
まぁ全長が4947mm、ホイールベースが2940mm
もあるのだから、当り前と言えば当り前だが。
頭上のスペースも、
こぶしが横に1つ分ぐらいの余裕があった。
ヘッドレストの高さも、
引っ張り上げずとも頭を支えてくれる位置にあり、
シートにもボリューム感があるので、
ゆったりくつろげる後席になっている。
サルーンとして、充分なスペースと快適さが
確保されている後席と言っていいだろう。
Cクラスの後席とは明確なレベルの違いというか、
キャラの違いを感じる部分だ。
評価としては、
単純に「空間の余裕」という点では
5つ★をつけるほどではないかもしれないが、
とにかく快適で居心地のいい車内空間だ。
よって、5つ★を進呈する。
静粛性・・・★★★★☆
ヒジョーに静か!
エンジンを回した時の車内への音の届き方も
直接的ではなく、荒れた路面を通過する時の音や
ロードノイズなど、あらゆる音の侵入に対して
遮音を頑張ったことが感じられる。
高級車っぽい重厚なノイズも
さりげなく漂う感じでいい感じ。
しかし!!
「静かさ」のレベルとしては5つ★を
付けてもいいんじゃないかと思ったのだが、
今回は4つ★評価とさせて頂いた。
それはなぜか。
エンジン音の音質がショボかったから、だ。(-_-)
というのも、
街乗りで多用するレベルの加速時、
軽くアクセルを踏んだ時に
車内に届くエンジン音がヒドい!
(エンジン音なのかその他の部分の
作動音なのかはわからないが、
とにかくアクセルを軽く踏んだ時に
聞こえてくる音)
シャリシャリシャリ・・・
といった感じの軽い音がするのだが、
この音に質感は皆無。
なんかちょっとビミョーに低質な摩擦感を
感じさせる音で、全然よろしくない。
一方、
急坂などでガッツリと深くアクセルを踏んで
高回転まで回した時に聞こえるエンジン音は、
まぁ悪くはない音質の音だった。
とはいえ、
わざわざブン回して聞きたくなるほど
エモーショナルなサウンドではない。
やはり「走る気にさせる」味付けは、
BMWの方が上手いね。
でも、上質なサルーンの雰囲気作りは
圧倒的にメルセデスの方が上手い。
そんなわけで、
乗り心地のイメージだけでなく、
こうしたサウンドの面でも、
グレード名でわざわざ「スポ-ツ」を
名乗ってるのがミスマッチな感じ。
静かではあるのだが、
印象はあまりよろしくない。
内装質感・・・★★★★★
再度お伝えしておくが、
ここでの評価はあくまでもオプションの
「レザーパッケージ」が装備された状態の
評価となるのでご注意を。
まず率直に、実にご立派な内装だ。
レザーパッケージが付いてないと
どれぐらい質感に影響があるのか、
標準仕様を見たことがないのでわからないが、
とにかくレザーパッケージ付きは
さすがメルセデス!と言いたくなる
素晴らしい質感だ。
インパネの先進的な雰囲気。
メーターパネルは12.3インチのディスプレイ
になっていて、そこにメーター類が表示される。
表示するメーターや情報などは、
設定によっていろいろ変えることができる。
ドアやセンターコンソールなど、
随所で柔らかく光るアンビエントライトが
さりげなく高級感を演出している。
BMWも少しはメルセデスを見習って、
内装の質感向上とか「見せ方」に
力を入れてくれるといいのだが・・・。
と、見ると思わず愚痴がこぼれてしまう、
そんな羨ましい内装だった。
しかし!!
Cクラスに試乗した時にも感じたことだが、
ウインカーレバーの操作感が非常に安っぽい!
まさかEクラスでも同じレベルとは。。。(>_<)
こんなにヒドい操作感なのに、
メルセデスの開発陣は何も感じないのだろうか?
まぁAクラスやBクラスみたいな大衆車なら
仕方がないとは思うのだが、
Cクラス以上でこんなショボい操作感の
ウインカーレバーを流用で使い回す神経が理解不能。
そんなわけで、
非常に残念な部分もあるのだが、
全体としては、やはり5つ★は与えられるレベル。
しかし俺様が買うとしたら
レザーパッケージなんかいらんので、
標準の場合どう見えるのかが気になるのだが、
試乗車だけでなく展示車もレザーパッケージ付き
だったので、確認できなかった。
Eクラス買うならそこはケチるな、
ってことなのかな? (^o^;
まぁでも、カタログを見る限りでは
レザーパッケージによって内装が変わるのは
シートだけのようなので、5つ★という評価に
変わりはないだろう。
装備・・・★★★★★
言わずもがなの充実装備。
片側だけで84個ものLEDで構成される、
「マルチビームLEDヘッドライト」が標準装備。
きめ細かい照射制御で他車を眩惑することなく
可能な限り広い範囲を照射してくれる。
正直いらんから安くしてくれと言いたくなる
「パーキングパイロット」は、並列駐車だけでなく
縦列駐車にも対応し、自動で駐車してくれる装備。
せめてオプションにしてもらえないだろうか。
他にも安全装備系では、
余計なお世話な機能が着々と増加中だ。
特に笑っちゃうのが「PRE-SAFEサウンド」。
衝突が避けられないとクルマが判断すると、
車両のスピーカーからノイズを発生させて、
鼓膜の振動を内耳に伝える「あぶみ骨筋」の
反射収縮反応を引き起こすのだそうだ。
これにより、衝撃音の内耳への伝達が
軽減されるのだという。
要するに、
ぶつかった時の衝撃音による
耳への害を軽減してくれる、
っちゅうわけだ。
実際どこまで効果があるのか知らないが、
安全装備の至れり尽くせり合戦も、
ついにここまで来たかという感じ。(^o^)
と、変な装備も登場している新型Eクラスだが、
このクラスなら装備しておいてほしいと思う装備は
一通り標準装備されているので、まぁいいだろう。
カーステ音質・・・-----
ついに標準装備のオーディオから、
CDの挿入口が無くなった。(^o^;
なので、
いつも音質チェックに使っているCDが使えず、
チェックできなかった。
今度ベースグレードの試乗に行く際に、
USBにファイルを入れて持っていって
確認してみるとしよう。
総評・・・★★☆☆☆
いやぁ、さすがはEクラス!
先にフルモデルチェンジした新型Cクラスも、
随分と立派になって高級感もアップし、
これじゃあEクラスの立場が・・・と
思うほどだったのだが、
なるほどやはり、新型で登場したEクラスは、
Cクラスとは明確に異なるキャラと高級感を
備えたモデルだった。
正直なところ、以前の俺様は、
「ベンツと言えば高級車。
高級車と言えばSやろ。
Eなんか高級車としては中途半端やし、
SじゃないんやったらCを選ぶね。」
なんて思っていたのだが、
今回のEクラスは高級車として
認めざるを得ない仕上がりだと思う。
静粛性の高さ、居住性の良さ、
質感の高い内装など、
高級車として求められる要素が
ハイレベルに仕上げられていたからだ。
しかし!
やはり「完璧」とはいかない。
特に静粛性に関しては、静かであるだけに、
街乗りでの軽い加速時に聞こえてくる
ショボいエンジン音が何とも残念すぎる。
がさつな音というわけではないので、
許せないほどの音ではないのだが、
やはりこれだけ高級感のある仕上がりの
クルマとなれば、あの音はもう少し
チューニングなり遮音なりしてほしかった。
まぁ、700万円級のクルマだからこそ
言いたくなるのであって、安けりゃぜんぜん
問題ないのだが。。。(-_-;
基本的にコンフォートな方向で
よく出来ているクルマだと思うだけに、
「スポーツ」などというグレードは
ラインナップせずに、コンフォートに
徹してもらいたかった。
そうすれば、静粛性にもさらに
磨きがかけられたんじゃないか、と。
19インチの足回りも、
前輪のブレーキローターはいい感じなのに、
後輪のブレーキローターは径が小さすぎて
あまりにも見た目がショボすぎる!
こんな中途半端なことをするぐらいなら、
なおさら「スポーツ」などという
グレードはいらないだろう。
性能的には後輪のローターは
あれでも充分なんだろうけど、
「スポーツ」を名乗ってはいても
クルマの内容は先述した通り
スポーティーとは言えないものなんだから、
むしろ「見た目こそが命」じゃないのか?!
であれば、後輪のブレーキローターも
オーバークオリティを承知のうえで、
前輪と同様にもっと立派なものを
採用すべきだ。
「こいつ、大袈裟に言ってるな」
と思ってる人、
ぜひディーラーに行って実物見て下さい。
マジで悲しくなるレベルですから。(-_-)
というわけで、
よく出来たクルマだと認める一方で、
出来栄えの方向性からして
「スポーツ」というグレードには
個人的には魅力を感じない。
見た目的にも中途半端な「スポーツ」で、
見た目重視の人にさえもオススメできない。
なので、2つ★評価とさせて頂く。
まぁそんなわけで、
やはり俺様が新型Eクラスを狙うとすれば、
ベースグレードしかあり得ない。
というわけで、
後日あらためてベースグレードに
試乗させて頂くことになった。
ベースグレードは17インチなので、
さらにEクラスのキャラに合った
極上の乗り心地に仕上がってるかもしれず、
ぜひそこに期待したい。(^_^)
→ Eクラス関連商品
★重要なお知らせ!
当ブログは2018.9.30をもちまして、
「新・辛口クルマ批評」に移転しました。
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★庶民の方々へ忠告!
クルマの乗り替えを検討している方へ。
もしあなたにとって、
数十万円というお金が
小さなお金ではないのなら、
ディーラーの下取りに出す前に
必ず買取店の一括査定を
実行して下さい。
俺様も利用している無料一括査定サービス
俺様の経験上、業者によって
査定額に数十万円の差が
つくことはザラにあります!
ディーラーの言い値で
下取りに出したりしたら、
それこそ数十万円単位の損
をすることになりかねません。
買取店の一括査定で
最も高い値段をつけた業者に売れば、
買い替え候補のクルマだって
ワンランク上のグレードが
狙えるかもしれませんよ!
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★目次リンク
→ 試乗記の目次
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30代以上のサラリーマンの方へ。
俺様は動き出しました。あなたもそろそろ。(-_-)
→ クルマが好きだから、そろそろ人生の軌道修正
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