【試乗記】 トヨタ カムリ G

試乗車の概要
車名 | カムリ |
グレード | G |
駆動方式 | FF |
トランスミッション | CVT |
装着タイヤ | ミシュラン PRIMACY 3 ST (215/55R17) |
型式 | DAA-AXVH70-AEXNB |
排気量 | 2.5リッター(自然吸気) |
最高出力 (エンジン) | 178ps/5700rpm |
最大トルク (エンジン) | 22.5kgf・m/3600-5200rpm |
最高出力 (モーター) | 120ps |
最大トルク (モーター) | 20.6kgf・m |
車両重量 | 1570kg ※ |
車両本体価格 | 349万9200円(税込) |
試乗日 | 2017年7月19日 |
「T-Connect SDナビ」装着(+10kg)につき1580kg
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2017年7月にフルモデルチェンジされた
トヨタの新型カムリに試乗した。
以下に、率直なインプレッションを述べる。
●関連記事
・新型カムリのデザインはかっこいいのか?
・トヨタ カムリ モデルチェンジ情報
・【試乗記】 トヨタ カムリ ハイブリッド“Gパッケージ”
試乗インプレッション
【注意!】当ブログの試乗記の見方について
動力性能・・・★★★☆☆
まずは発進の挙動チェックから。
先代の初期型に乗った際には
過敏に感じた発進の挙動だったが、
今回の新型では軽快ながらも過敏過ぎず、
なかなか上品な発進挙動だと感じた。
しかし!
それ以前に、タイヤが一転がりした瞬間の
なめらかさと重厚感が素晴らしい!
躾の良くなった発進挙動と相まって、
「いいクルマ」感が格段にアップした。
これはもちろん、今回採用された
TNGAプラットフォームの恩恵だろう。
そして、
発進後の中速域までの加速も
スムーズでなめらか。
中速での定速走行から加速する際も、
モーターのアシストが素早く効くため
アクセルワークに対するレスポンスが良い。
次、
いつもの急坂での加速力チェック。
急坂でアクセルをグッと踏み込むと、
まずはモーターのレスポンスで素早く反応し、
加速体勢に入る。
そこからの加速力に関しては、
パンチ力のある加速ではないものの、
それほどブン回さなくても十分に
加速して急坂を上ってくれる感じだ。
まぁ俺様としては、
十分な加速力だと思うのだが、
少し気になる部分も。
その気になる部分というのは、
加速のリニア感。
というのも、
グッとアクセルを踏み込むと、
モーターが素早く反応するため、
そのままグイグイ加速してくれる
のかと思いきや、そこから先の加速は
エンジンに頼ることになるため、
一度そこで加速感が鈍って、
遅れて加速がのってくる感じになる。
つまり、
モーターによる加速と
エンジンによる加速のつなぎの部分、
そこに少し不自然な感じがあり、
リニアに加速しないのだ。
普通に走っている時の
通常の加速ではリニアに感じるのだが、
負荷の大きい状況での急加速では
モーター駆動とエンジン駆動の
加速力の「つなぎ」の部分が目立ってしまい、
リニア感が損なわれてしまうようだ。
まぁでも、
このクルマのキャラクターを考えれば
ゆったり走るのが本来の姿だと思うので、
特に問題視するほどのことでもないだろう。
あと、
これも進歩したなぁと思うのは
ブレーキのフィーリング。
これはかなり良くなった。
先代のブレーキは止まり際が不自然で
カックンになり気味だったのだが、
今回の新型ではそんなことはなかった。
微妙な踏み加減に対しても
なかなか繊細にブレーキが反応してくれる。
というわけで、
キビキビしたメリハリのある
スポーツ走行をさせようと思ったら
加速反応のリニア感に
不満が生じるかもしれないが、
通常の走行では非常に軽快に加速するし、
それでいて重厚感もあるし、
街乗りでの印象は良い。
ちなみに、
「スポーツモード」は試さなかった。
ノーマルでも特に不足は感じなかったし、
乗り心地から言っても、
スポーツ走行を楽しむようなクルマではない
と思ったので。
乗り心地・・・★★★★☆
動力性能のところでも少し触れたが、
なめらかさと重厚感が素晴らしい!
同じくTNGAが採用された
現行型プリウスに試乗した際にも、
そのなめらかさと重厚感に
驚かされたのだが、
新型カムリはそれよりさらに
なめらかさと重厚感をプラスした感じ。
最近の新型車はどれもこれも
スポーティーな乗り味になっていて、
しっかりした感触のクルマが多いのだが、
新型カムリはそれとは違い、
どちらかと言うとふんわりしている。
荒れた路面を通過した際の感触も
非常にマイルドで、よく足が動いて
衝撃をまろやかに吸収している。
ただ、当たりが柔らかく、
ふんわりした感じの足回りなので、
足の動きだけでは抑えきれずに発生する
車体の上下動に関しては、
やや収束が遅めな感じを受けた。
とはいえ、
かなり足回りで上下動を抑え込んでくれるので、
気になるほどの揺れを感じることは
ほとんど無いだろう。
ちなみに、
横揺れに関しては非常に少ない。
これぐらい足回りがマイルドだと、
もう少し揺れるんじゃないかと思っていたが、
そこは良い意味で意外だった。
ハンドリングの特性は意外とクイック。
いや、クイックとまで表現したら大袈裟か。
このクルマのキャラクターを考えると
意外とクイックな方向かなぁ、という感じ。
微妙なステアリング操作にも、
ドライバーの意図に対して的確に
遅れず反応してくれる。
ステアリングに伝わってくる
インフォメーションもなかなか濃いし、
重すぎず軽すぎない手応えといい、
安心感のあるステアフィールだ。
実は今回の試乗に際し、
同じディーラー系列の別店舗まで
営業マンの方と一緒に試乗車を
取りに行ったのだが、
その際の移動に使ったのが
「カローラ フィールダー」の試乗車だった。
俺様が運転して行ったのだが、
この「カローラ フィールダー」の
ハンドリングが、まぁヒドかった! (^o^;
インフォメーションは乏しく、
手応えゼロの軽さとダルダルなハンドリングで、
俺様が微妙なステアリング操作を与えても
知らぬ存ぜぬと言わんばかりに無反応。(^o^)
こんなクルマの試乗車、
あっても意味ないと思ったね。
だって、
乗らなければ買ったかもしれない人でも、
乗ったらたぶん
「こんなクソ車いらんわ」
って言って買わない気がするから。(^o^;
と、話が逸れたが、
そんな論外な「カローラ フィールダー」に
乗った直後の試乗だったため、
余計に新型カムリのハンドリングを
素晴らしく感じたという面も
多少あるかもしれない。
それぐらいギャップが激しかったんで。(^^;
居住性・・・★★★★☆
言うまでもなく、広さは十分。
まぁ先代も広かったし、
北米でトヨタのセダンと言えばカムリ
と言われるぐらい、アメリカンサイズを
想定して作られているクルマですから、
広いのは当り前だろう。
具体的に言えば、
運転席を俺様(身長180cm)のドラポジ、
しかも通常より少しゆったりめに合わせた状態で、
後席のヒザ周りには拳を縦に2つ分+αぐらいの
余裕があるのには驚いた。
後席の頭上にも、
拳が横に1つ入るぐらいの余裕がある。
後席のヘッドレストも、
デフォルトの位置でも頭を支えてくれる位置にあり、
シートのサイズもたっぷりとしている。
さすが、アメリカンサイズ想定車だ。(^o^)
あと、驚いたのがトランクの広さ。
ハイブリッドはトランクが狭いという
イメージがあったのだが、
開けてビックリ、ガソリン車の
トランクと変わらない広さ。
営業マンさんが言うには、
9.5インチ(?)のゴルフバッグが
4つ入る広さを確保している、
とのことだった。
もはや今の時代、
トランクの狭さの言い訳に、
「ハイブリッドだから・・・」
は通用しない、ということか。
運転席の居心地も良かったので、
セダンでこれぐらい余裕があれば
5つ★を付けてもいいんじゃないか
という気がしなくもないが、
もう一息何かが欲しいところ。
シートの質感がね、
ちょっと居住空間の雰囲気作りのうえで、
少々物足りなかったかな、と。
そこが良かったら5つ★付けてもいいと思う。
なので、
最上位グレードの「G レザーパッケージ」なら、
5つ★を付けられるかもしれない。
静粛性・・・★★★★☆
これはさすがに静か!
先代も静かだったが、さらに良くなった。
まずエンジン音の遮音性がいいよね。
急坂での加速時にある程度までブン回したけど、
エンジン音がよく抑えられていた。
エンジン音は、基本的にはブン回すと
ブオーーーッ!という感じの音で回るのだが、
この音がね、音量が抑えられているだけでなく、
音質がマイルドだった。
はっきり言って、エンジン音に関しては、
クラウンのハイブリッドよりマイルドで、
抑えも効いていると感じた。
そして今回、
明確に良くなったところの1つが、
ロードノイズが静かだということ。
ハイブリッド車は静かなだけに、
ロードノイズが気になりがちだと思うが、
これもTNGAの恩恵なのか、
足回りからの音の侵入がよく抑えられている。
タイヤがミシュランのプライマシー 3ということで、
コンフォートタイヤであることも
ロードノイズ低減に効いているのだろう。
まぁ上を見ればもっと静かなクルマは
あると言えばあるのだが、
この価格帯では確実に上位の静粛性だ。
でも、俺様が気に入ったのは
その単なる静かさではなく、
やはり「なめらかで重厚な感触」、
これだ。
走行中に漂うノイズの中に、
さりげなく感じられるそのフィーリングが、
高級車と呼べるレベルに達している。
それはまさに先代で物足りなかった部分であり、
今回の新型が大きく進化した部分と言える。
ってゆーか、
カムリにここまでやられたら、
クラウン ハイブリッドの立場が・・・。(^_^;
内装質感・・・★★★★☆
これも先代よりだいぶ良くなった!
パッと見、高級車のように見える。
あちこち触っていて、
まず驚いたのがダッシュボードの柔らかさ!
いま流行の革張り風な仕上げなど、
あからさまに高級っぽい仕立てではないが、
こういうさりげない質感の良さは好感が持てる。
インパネ、センターコンソールの加飾等も
派手さはないが質感の良さを感じる仕上げ。
ドアの内張りやヒジ置き部分も柔らかく
仕立てられていて、この価格帯のクルマとして
十分なレベルと言っていい。
シフトレバーやスイッチの操作感も良い。
ただし、
今回の試乗車にはメーカーオプションの
「T-Connect SDナビゲーションシステム」
が取り付けられていた。
なので、インパネの質感に関しては
このクルマとして最も見栄えの良い状態に
なっていたことをお伝えしておく。
他のナビを付けたら、
インパネの質感や見た目の収まりの良さは
少々劣るのかもしれない。
本革巻きのステアリングは、
少しザラついた感じの硬めの革で、
それほど質感が高いとは感じなかった。
でも、最近、
こんな感じの本革巻きステアリングが
増えてきたように思う。
近年のトレンドなんだろうか?
ちょっと前はやたらとなめらかな
スベスベの革が流行ってて、
俺様はそっちの方が好きだったのだが。
あと、
ちょっと残念だったのはシートの質感。
標準装備のファブリックシートは、
パッと見ではそんなに質感は悪くないのだが、
手触り、特に座面サイドのサポート部分あたり、
触感が安っぽくてちょっと萎える。
そこ、もうチョイだけ頑張ってほしかったな。(^^;
装備・・・★★★☆☆
まぁ装備はイマドキのクルマとしては
「普通」の範囲内かな。
特に珍しいとか、目新しい装備が
付いてるわけではないが、
この価格帯のクルマとして
付いてて欲しい基本的な装備は
それなりに備えている感じ。
ヘッドライトはLED。
ルームミラーは自動防眩。
運転席は8ウェイパワーシート。
でも正直、
この価格帯なら助手席もパワーシートに
してもらいたかった。
ナノイー付きの左右独立フルオートエアコン。
最近の流れに倣い、電動パーキングブレーキ。
カタログの画像で見てる限りはセンスの良い、
イルミネーテッドエントリーシステムによる
随所のブルー照明。
そして、ボケ老人の必需装備、
自動ブレーキも標準装備ですよ。
不要な装備だが、こればっかりは
もはやあきらめざるを得ない世の中。(^o^;
オートマチックハイビームも標準装備。
ロービームとハイビームを
自動で切り換えてくれるありがたい装備だ。
ただ、
ワンランク上とも言える、
マツダやスバルのような照射範囲制御タイプの
ヘッドライトが欲しかったところではあるが。
例によって例のごとく、
俺様が欲しいサイドや後方に対する
安全支援装備はオプション扱い。
何度も言うが、自動ブレーキよりも
むしろこっちを優先的に標準装備に
してほしいところなのだが、
前方にすら注意できないボケたジジィが
大量発生している昨今では致し方ない。(-_-)
あと、これも最近の流行で、
フロントガラスに速度等が映し出される
「カラーヘッドアップディスプレイ」
がオプション装備として設定されている。
試乗車には、その
「カラーヘッドアップディスプレイ」
が装備されていたのだが、
正直、マツダのやつのほうが見やすいし、
情報量もマツダのほうが多い。
わざわざオプション代の4万3200円を
払ってまで付ける装備でもないと思った。
カーステ音質・・・★★★☆☆
試乗車にはメーカーオプションの
「T-Connect SDナビゲーションシステム」
が取り付けられていたので、
そのオーディオの音質を
いつもの音質チェック用CDでチェックしてみた。
一応、低音から高音まで、
特に弱いところはなくきっちり出てる感じ。
ただ、特に良い音というわけではない。
高音の伸びや透明感はイマひとつ。
あくまでも許容できるレベルの範囲内
というだけのことで、
誉められるような音質とまでは言えない。
とりあえず、
アウディの標準オーディオよりは
確実にマシだ。
総評・・・★★★☆☆
良くなったね、カムリ! (^_^)
先代はけっこう酷評になってしまったが、
新型になって全体的にレベルアップした。
(参考)
【試乗記】 トヨタ カムリ ハイブリッド“Gパッケージ”
残念ながら、自動ブレーキとかの
余計な装備が標準装備化してることもあり、
車両価格もアップしてしまっているが、
価格の上昇分以上に内容というか、
クルマ自体のレベルがアップしたと感じる。
やはりTNGAの恩恵は大きいのだろう、
なめらかさと重厚感、遮音性の良さ、
まさに高級車の域に踏み込んだフィーリングが
実現されている。
こりゃあクラウンも早く
フルモデルチェンジしないと、
特に「ハイブリッド」は
立場がなくなるね。(^_^;
とにかくね、
トヨタの伝統的に下品なハイブリッドの挙動が、
かなり上品に抑えられとるんですわ。
エンジンだけじゃなく、
ブレーキのフィーリングも良くなってるしね。
着実に進歩していってるね、
トヨタのハイブリッド。 (^_^)
まぁ欲を言えば、
スポーティーな走行にも対応してくれると
なお良かったのだが、それはちょっと
厚かましい要求と言うべきだろう。
このクルマのなめらかさと重厚感、
そして静粛性、この美点を満喫するには、
やはりまったりと流すに限る。
やたらと「スポーティー」を売りにする
クルマばかりになりつつある昨今、
このクルマのキャラクターは貴重な存在だ。
と、このように書くと、
「そんなに誉めるなら4つ★ぐらいは
付けてあげてもいいんじゃない?」
と思われるかもしれない。
そう確かに、
それはそうかもしれない。
ただ、
俺様としては、何かもう一息、
どこか頑張って欲しかったかな、と。
例えば、
スポーティーな走行では
このクルマの本当の良さを
味わうことができないとしても、
スポーティーに走らせても
「それなり」にこなしてほしい、とかね。(^o^;
その「それなり」というのは、
人によって想像するレベルが異なると思うが、
少なくとも俺様としては、
「加速のリニア感」はもう少しリニアに
まとめてほしいかな、と。
それとか、
ちょっと目新しい画期的な装備が付いてるとか。
今回そういうのは無いよね。
まぁでも、
先代と比べれば大幅に良くなった。
街乗り中心の俺様にとっては、
まったり乗って良さが引き立つこのクルマは
充分に愛車候補として選択肢の1つに入る。
実際の購入時期に、
値引きがどれくらい可能なのか、
それによっては次期愛車となる可能性もある。
というわけで、候補としてキープの
3つ★評価とさせて頂く。
★重要なお知らせ!
当ブログは2018.9.30をもちまして、
「新・辛口クルマ批評」に移転しました。
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★庶民の方々へ忠告!
クルマの乗り替えを検討している方へ。
もしあなたにとって、
数十万円というお金が
小さなお金ではないのなら、
ディーラーの下取りに出す前に
必ず買取店の一括査定を
実行して下さい。
俺様も利用している無料一括査定サービス
俺様の経験上、業者によって
査定額に数十万円の差が
つくことはザラにあります!
ディーラーの言い値で
下取りに出したりしたら、
それこそ数十万円単位の損
をすることになりかねません。
買取店の一括査定で
最も高い値段をつけた業者に売れば、
買い替え候補のクルマだって
ワンランク上のグレードが
狙えるかもしれませんよ!
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★目次リンク
→ 試乗記の目次
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30代以上のサラリーマンの方へ。
俺様は動き出しました。あなたもそろそろ。(-_-)
→ クルマが好きだから、そろそろ人生の軌道修正
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