【試乗記】 プジョー 308 Cielo

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試乗車の概要
車名 | 308 |
グレード | Cielo |
駆動方式 | FF |
トランスミッション | 6速AT |
型式 | ABA-T9HN02 |
排気量 | 1.2リッター(ターボ) |
最高出力 | 96kW(130.5ps)/5500rpm |
最大トルク | 230Nm(23.5kgf・m)/1750rpm |
車両重量 | 1320kg |
車両本体価格 | 339万円(税込) |
試乗日 | 2014年11月20日 |
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2014年11月にフルモデルチェンジされた
プジョー 308に試乗した。
以下に、率直なインプレッションを述べる。
●関連記事
・プジョー 308 モデルチェンジ情報
・【エクステリア編】 プジョー 308 (2014年モデル)
・【インテリア編】 プジョー 308 (2014年モデル)
・【デザイン総括】 プジョー 308 (2014年モデル)
試乗インプレッション
【注意!】当ブログの試乗記の見方について
動力性能・・・★★★☆☆
まずは俺様が意外とこだわっている発進から。
3気筒車ということで、唐突な飛び出し感が
あるのではないかと心配していたのだが、
そんな挙動は全く無く、自然な発進ができた。
発進後の加速も、ターボであることを感じさせず
自然なフィーリングで不足感なく加速してくれたし、
なかなかの好感触。
中速域(約40km/h)で走行中、いいタイミングで
前方に邪魔な原チャリがビミョーな速度で
走行していたので、見通しの良い直線で一気に
追い越しをかけた。
この追い越し加速が意外なほどにいい!
アクセルの踏み込みに対しターボラグを
ほとんど感じさせずに、なかなかの素早い
レスポンスで急加速してくれた。
正直、
「ターボとはいえ、たった1.2リッターの
3気筒車で、こんな加速ができるとは!」
と思ったね。
外車勢のダウンサイジングターボのレベルの高さを
あらためて痛感した瞬間だった。
日本メーカーの中では「ターボ」でリーダー的な
存在となるスバルのターボにしても、今の外車勢の
ダウンサイジングターボと比べるとその出来栄えは
完全に後塵を拝していると感じる。
もっと頑張れ、日本のターボ。って感じ。
そして最大の難所、いつもの急な上り坂での
急加速を試してみた。
さすがに圧倒的な加速、というわけには
いかなかったが、充分な加速感がある。
デミオのXDと同レベル、って感じの加速力だ。
また、回転数の上昇とエンジン音の高まりに対し、
違和感の無い加速感で加速してくれるので、
フィーリング的にも自然な感触だ。
というわけで、エンジンの動力性能は
必要にして充分だ。
しかし、ブレーキの感触はイマイチ。
ブレーキペダルの踏み始めの部分の感触が
フワフワで頼りない。
そのため、遊びの領域と、制動力が発生する領域の
境目が分かりにくく、ブレーキを踏んでも
どれぐらい効いているのかが把握しづらく、
イメージと制動力が合わない。
効きそのものが悪いわけではないので、
慣れれば問題ないとは思うのだが、
ブレーキはもっとカッチリしてるほうがいい。
これは要改善だ。
乗り心地・・・★★★☆☆
かろうじて3つ★、という感じかな。
今回、俺様自身、初のフランス車への試乗
ということで、その独特の乗り味を期待していた。
しかし、その乗り心地は意外なものだった。
フランス車と言えば「猫足」というイメージだが、
新型308は、まったく猫足ではなかった。
はっきり言うと、猫足どころか明確に固い。
一昔前のドイツ車に近い乗り味、って感じ。
荒れた路面を通過する際、ショックは丸めつつも
カッチリした固めの感触を伴う。
その代わり、路面のインフォメーションは
わかりやすく伝わってきて、揺れの収束も早く、
スポーティーな足回りといった印象だ。
この乗り心地、308のライバルになるであろう
ゴルフⅦ(ゴルフ7)の足回りと比べると確実に劣る。
ゴルフのほうが明らかにマイルドでしなやかだ。
どうせドイツ車風にするのなら、ゴルフⅦの
足回りをお手本にしてほしかった。。。(-_-)
まぁショックにカドがあるわけじゃないので、
乗り心地が悪いとまでは言わないが、
「フランス車らしさ」が全く感じられなかったのは
非常に残念だ。
「ドイツ車風」の乗り心地なら、ドイツ車のほうが
先を行ってるので、ドイツ車のほうがいい。
最近は日本車でもドイツ車風の乗り心地の
クルマが増えたと感じるが、日本車は日本車、
フランス車はフランス車として、もっと個性的な
乗り心地を目指してもらいたいものだ。
居住性・・・★★☆☆☆
まず運転席だが、チョイと感心したのはシート形状。
座面の前後方向にしっかりとした寸法が
確保されていて、サポート性が良い。
その一方、ドライビングポジションを合わせる際、
なかなか意図するようなポジションに合わせることが
できなかった。
最も気になったのは、太もものあたりが少々過剰に
持ち上がり気味で、ケツの部分が下がり気味なこと。
リフターで調整してみたものの、自分が理想とする
状態にまではポジションを改善することが
できなかった。
あと、シフトレバーにブーツを履かせるなら、
ゲート式じゃなく、ストレート式にしてほしい。
慣れないとシフト操作が動かしにくくてウザい。
そして、何とか自分(身長180cm)の理想に近い
ドラポジに合わせてから、後席に乗り込んでみた。
前席シートの背面がえぐられた感じの形状に
なっているおかげで、後席のヒザ周りのスペースは
拳1つ分ぐらいの余裕があった。
後席の頭上のスペースは、手のひら1枚分
あるかないか、という程度。
まぁこのクラスならこんなモンかな、と。
ただ、例によって例のごとく、
ヘッドレストの位置が低い。
これもこのクラスなら仕方のないところだろうか。
あと、後席に「ゆったり感」はほとんどなく、
サポート性も良くないので、スペース的には
及第点なのだが、快適性はイマイチだ。
そして、地味ながらこれはヒドいと思ったのは、
メーターパネルの視認性が悪すぎる!
居住性とはまた違う話かもしれないが、
メーターの視認性が悪いとこんなにも
落ち着かないものかと、初めて気付かされた。
どう視認性が悪いかと言うと、
普通はステアリングの隙間から覗くような感じで
メーターパネルを見るのが一般的だと思うが、
このクルマの場合、ステアリングホイールの
上から見る形になる。

なので、ステアリングホイールの上部が
メーターパネルの一部にかかってしまうし、
それを避けるためか、速度計と回転計が
左右に離れすぎていて見にくい。
しかも、右側にある回転計の針は、
通常とは反対回りに回るので、これまた見にくい。
さらに言えば、ステアリングの上から
メーターを見られるようにするために、
ステアリング径がかなり小さくなっている。
まぁ操作しにくいというほどではなかったが、
やはり多少の違和感は感じた。
静粛性・・・★★★☆☆
まぁ普通に走ってる分には静かだが、
エンジンがまぁまぁ静かだったこともあってか、
ロードノイズは少々目立った印象だ。
まぁ問題にするほどではなかったが。
急加速の際にエンジンをブン回した時の音は、
お世辞にも良いエンジンサウンドとは言えなかった。
少し雑味のあるワイルドなサウンド、って感じ。
でもまぁ、そのサウンドも許せないほどではなく、
及第点の範囲内だ。
エンジン音の透過も想定の範囲内のレベルであり、
特にうるさいとまでは感じなかった。
とはいえ、じゃあ静かかと言われると、
静かという感じでもないなぁ、と。
というわけで、定速走行時、加速シーンも含めた
トータルで見ると、まぁうるさくもないけど、
4つ★が付けられるほどではない感じ。
内装質感・・・★★★☆☆
特に良いというわけでもないが、
悪いというわけでもない、ビミューな質感。
ダッシュボードはソフトパッドになっていて、
そこはホッとしたところ。
さすがに300万オーバーのクルマなら、
そこはソフトパッド必須やからね。(^_^)
ドアの内張り上部もソフトパッド使用、
っぽいのだが、これがちょっとビミョーだ。
というのも、表面は確かに柔らかいのだが、
強めに押してみると、すぐ後ろに固いものがある
という感触。
つまり、ソフトパッドというよりは、
固い樹脂の上に非常に薄いソフトな素材が
張られている、といった感じの感触がするのだ。
なので正直、中途半端な質感って感じ。
今回試乗したグレード「Cielo」は、
308の最上位グレードということで、
シートがチョイと上等な感じのシートになる。
インテリアの中で、シートが占めている領域は
多いだけに、やはりシートの質感が上がると
全体的な見栄えが良く見えるね。
気になったというか、触った瞬間に「ショボっ!」
と思ったのは、ドア内側の取っ手。
運転席に乗り込んで、ドアを閉めようとした
まさにそのとき、取っ手に手をかけた瞬間に
感じた触感のショボさがハンパなかった。
どうショボいかというと、低質な表面処理の
プラスチック丸出しの感触。
まぁそこはプラスチックなのは別に構わないのだが、
それにしても触感がヒドすぎた。
取っ手の内側の形状が特に工夫されておらず、
単純な窪みが開けてあるだけなので、
指先から第二関節ぐらいまでがベタッと
触れることになる。
恐らく、触れる面積が広いため、そのせいで
余計にショボい触感が伝わりやすいのだろう。
ついでに言うと、「内装」ではないけれど、
ドアの開閉の感触もチャチい感触。
俺様は最近はあまりドアの開閉の質感には
こだわらないようにしているし、実際そんなに
気になる感触のドアもあまり無いのだが、
それでも今回は「ん?」と思ったぐらいだから、
これまでに試乗してきたクルマと比べると
明らかにショボかったのだろうと思う。
つまり、新型デミオ以下、っちゅうことになるね。
300万超えのクルマだけに、
そこはもうチョイ頑張れよ、と言いたい。
と、厳しいことも書いたが、
まぁ全体としては及第点はクリアしている。
装備・・・★★★☆☆
試乗した「Cielo」は最上位グレードということで、
イマドキの新型車として基本的な装備は一通り
備えている感じ。
今や定番、LEDヘッドライトは標準装備。
もちろん、いわずもがなのオートライト。
駐車時の味方、バックカメラ、バックソナー、
さらにはフロントソナーも標準装備。
今となってはこのクラスでも珍しくなくなったが、
パーキングブレーキは電動パーキング。
ちょっと感心したのは、いま流行りの安全装備が、
ドライバー主体となっていること。
というのも、こいつの自動ブレーキは、
前車との衝突の危険を感知したとき、
自動で「減速」してドライバーに回避行動を
とるように促すだけで、完全停止までは
サポートしていないのだ。
正直、それで充分だと思う。
あと、後方死角のクルマやバイクを検知して
ドアミラーのウォーニングランプで知らせる
「ブラインドスポットモニター」も標準装備。
そして、あるとうれしいパドルシフトも標準装備。
ただ、ちょっと使ってみたのだが、
パドルを操作したときのパドルの可動範囲が
メチャクチャ小さくて、パドルを引いても
パドルがチョビっとしか動かない。
確かに、あまり可動範囲が大きいと、
パドル操作に対して反応が遅れてしまうので、
それはそれで良くないのだが、
ここまで可動領域が少ないとちょっとヤリすぎ
という感じがする。
だって、操作フィールがチャチいんだモン。(^^;
あと、余計なお世話な標準装備が、
「パノラミックガラスルーフ」。
こんなモン、タダでもいらないです。(-_-)
標準装備で押しつけるのはやめてもらいたい。
さらにムダな標準装備が「パークアシスト」。
車庫入れの際に駐車可能なスペースを検知して、
駐車のステアリング操作を自動でやってくれる
という、おせっかい極まりない装備だ。
オプションにしろよ、こんなクソ装備。
ちょっとうれしいのは、DENONと共同開発した
という、9スピーカーの308専用Hi-Fiオーディオが
標準装備されるところ。
DENONというのがチョイとビミョーだが。(^_^;
(3ヵ月ほど前に、自宅のDENONのホームシアター用
サラウンドアンプが壊れたので。
まだ買ってから3年しか経ってないのに。。。)
カーステ音質・・・★★★☆☆
今回試乗したグレード「Cielo」には、
装備の項目でも書いた通り、他のグレードの
オーディオよりも上等な、9スピーカーの
Hi-Fiオーディオが標準装備となる
その音質チェックをしてみたのだが、
期待したほどの音質ではなかった。
低域と中域のバランス、インパクトは良いのだが、
比較して高域のレベルが弱く聴こえて、
インパクトが物足りない。
カタログで「圧倒的な臨場感を生み出す」と
アピールされている割には、さほど臨場感も
感じなかった。
ま、悪くはないけど、普通+アルファ程度、
ってところかな。
総評・・・★★☆☆☆
悪くはないですよ、悪くは。
明確に不満だったというか、最も不満度が
高かったのは、メーターの視認性かな。
まぁそれ以外にも細かい不満は書いたが、
いずれも許容できないほどの不満という
わけではない。
しかし、試乗を終えて思ったのは、
「あえてこのクルマを買う意味があるかな?」
ということだ。
というのも、一番特徴的であるべきはずの
「足回り」も、フランス車らしからぬ
ドイツ車風の乗り心地。
最大の個性を失った状態で、あえてこのクルマを
選ぶには、その他の部分で明確なアドバンテージが
なければならない。
しかし、そんなアドバンテージも無かった、
というのが率直な印象だ。
ライバルのゴルフⅦは走りの質感が別格だが、
こちら(ブジョー308)にはそこまでの
特に優れた部分があるわけでもないし、
それどころか、細かい不満が随所にある状態。
このクルマにしかない優れた部分があるなら、
こまごました不満に目をつぶってでも欲しいと
思うかもしれないが、そう思わせるほどの
部分が無いのだ。
デミオのXDより100万円以上高くてこの内容なら、
まぁデミオのほうがいいでしょう。
というのが、俺様の判断ですね。
→ プジョー 308 関連商品
★重要なお知らせ!
当ブログは2018.9.30をもちまして、
「新・辛口クルマ批評」に移転しました。
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★庶民の方々へ忠告!
クルマの乗り替えを検討している方へ。
もしあなたにとって、
数十万円というお金が
小さなお金ではないのなら、
ディーラーの下取りに出す前に
必ず買取店の一括査定を
実行して下さい。
俺様も利用している無料一括査定サービス
俺様の経験上、業者によって
査定額に数十万円の差が
つくことはザラにあります!
ディーラーの言い値で
下取りに出したりしたら、
それこそ数十万円単位の損
をすることになりかねません。
買取店の一括査定で
最も高い値段をつけた業者に売れば、
買い替え候補のクルマだって
ワンランク上のグレードが
狙えるかもしれませんよ!
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★目次リンク
→ 試乗記の目次
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30代以上のサラリーマンの方へ。
俺様は動き出しました。あなたもそろそろ。(-_-)
→ クルマが好きだから、そろそろ人生の軌道修正
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