【試乗記】 フォルクスワーゲン パサート TSI ハイライン

試乗車の概要
車名 | パサート |
グレード | TSI ハイライン |
駆動方式 | FF |
トランスミッション | 7速AT |
型式 | DBA‐3CCZE |
排気量 | 1.4リッター(ターボ) |
最高出力 | 150ps/5000-6000rpm |
最大トルク | 25.5kgf・m/1500-3500rpm |
車両重量 | 1460kg |
車両本体価格 | 414万円(税込) |
試乗日 | 2015年7月18日 |
2014年7月に欧州で販売が開始され、
日本でも2015年7月から販売開始となった、
新型パサートに試乗した。
以下に、率直なインプレッションを述べる。
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・フォルクスワーゲン パサート モデルチェンジ情報
試乗インプレッション
【注意!】当ブログの試乗記の見方について
動力性能・・・★★★☆☆
まずは発進の挙動チェック。
アクセルの踏み始めの部分で、
若干「遊び」の領域が広い気がした。
思ったよりも若干深めにアクセルを踏まないと
加速体勢に入ってくれない感じ。
まぁ少し踏んだだけで飛び出すような
発進をする安物よりは全然いいのだが、
もう少し踏み始めの部分からリニアな
セッティングにしたほうがいい。
発進後から中速域までの加速は、
ターボでありながらリニアな感触。
それはまぁ良かったのだが、
時々、加速時にエンジンの振動がフロアから
伝わってくることが何度かあった。
しかし、どういう状況の時にその振動が
発生するのかが試乗の時間内ではわからなかった。
原因として、気筒休止機能の動作を疑って、
メーターパネル内の表示を確認しながら
走らせてみたのだが、どうやら気筒休止の動作と
その振動は無関係のようだった。
とにかく、振動の発生を抑えるべく、
さらなる改善の余地がある。
そして次、急坂での動力性能チェック。
だが、今回はいつもの試乗コース近辺にある
ディーラーではないため、生駒山の坂道で
急加速を試みて、動力性能チェックをおこなった。
結論を先に言うと、充分な加速力がある。
もちろん、1.4リッターのターボということで
さほどパワーがあるわけではない。
なので、パンチ力と呼べるほどの加速性能は
無いのだが、アクセルの踏み込み量に対して、
体感的にストレスを感じないレベルの加速力を
すんなりと発揮してくれるので、印象は良い。
それに、エンジン音の高まりと加速感がリンク
しているので、そういう面でも気持ちがいい。
まぁそんな感じで、とりあえずは合格点だが、
ゴルフⅦが非常に良かっただけに、
それと比べると洗練度という点では劣る印象だ。
欧州カーオブザイヤーを受賞したということで、
少々期待しすぎていたせいだろうか。
(参考)
【試乗記】 フォルクスワーゲン ゴルフ TSI ハイライン
乗り心地・・・★★★★☆
ドイツ車らしい締まった感じの感触ではあるが、
荒れた路面を通過した時の感触にカドは無く、
足回りがよく仕事をしている感じが伝わってくる。
ただ、これに関しても、アダプティブシャシー
コントロールのオプションが付いたゴルフⅦと
比べてしまうと、しなやかさが足りない気がする。
まぁそれは、ゴルフⅦの出来が良すぎるだけで、
決して新型パサートの足回りが悪いわけではない。
そして、荒れた路面を走らせた際の
ボディの振動に関しても、最近の新型車らしく
よく抑えられているし、振動の収束も早い。
段差を乗り越えた時の感触には剛性感があり、
ほど良い重厚感が感じられるような感触と音も
手伝って、さりげない上質感がある。
最近乗ったクルマとの比較で言えば、
スカイライン200GT-tと近い感触かな。
で、プジョー508よりは少し硬質な感じ。
というわけで、俺様としてはゴルフⅦの
マイルドな感じのほうが好きだったが、
これはこれで「これぞドイツ車」といった印象の
王道的な乗り心地を、さらに洗練させた感じなので、
そういう意味で完成度は高いと思う。
ただ、そろそろこの手の乗り味も飽きてきた
というか、俺様の中で「よくある感じ」の
枠内にある乗り心地、という感じがする。
ボチボチ、新世代のドイツ車としての、
斬新な乗り心地の探求へと足を踏み入れても
良い頃ではないかという気がしなくもない。
居住性・・・★★★★☆
先に言わせてもらうが、後席のヒザ周りが
驚くほど余裕たっぷり!
運転席を俺様(身長180cm)のドラポジに
合わせた状態で後席に乗り込んだところ、
ヒザと前席シートバックの間には
拳を縦にして2つ分ものスペースがあった。
もともとパサートは後席の広いクルマだった
らしいが、今回の新型では室内長がさらに伸びた
ということで、さすがの広さといったところ。
後席の頭上に関しては、拳を横にして1つ分
の余裕があったので、これもまぁ充分なのだが、
ヒザ周りの余裕の大きさから考えれば、
頭上の余裕はさほどでもないという感じ。
そして、シートのホールド感だが、これは
前席/後席ともに適度で絶妙。
後席はヘッドレストを引っ張り上げなくても
頭を支えてくれる位置にあり、これも合格点。
ハイラインではレザーシートが標準装備。
前席は当然ながらパワーシートなので、
ドラポジを細かく合わせられる。
おまけに、シートヒーターだけでなく
ベンチレーション機能までが標準装備
されているので、快適性といった面でも
居住性を高めている。
助手席との間にあるセンターアームレストも
スライド調整可能で、ちょっとしたことだが、
これも居住性にはプラスなポイントだ。
そして、特筆すべきは、
「3ゾーンフルオートエアコン」装備により、
後席でも独立したエアコンの温度設定が
できること。これは素晴らしい!
後席でも独立して温度調整ができるエアコンは、
5月に試乗したプジョー508にも装備されていたが、
あちらは後席の左右も独立調整できる4ゾーン、
こちらは後席は左右共通の3ゾーンだ。
なので、プジョー508には及ばないものの、
この価格帯のクルマで、運転席/助手席/後席の
3ゾーンで独立調整が可能なエアコンを
装備しているクルマは、今のところ珍しい。
しかし、かつては運転席/助手席の
2ゾーン独立調整でさえ珍しい時代があったものの、
今では大衆車ですら2ゾーンが当り前になっている
だけに、これからは3ゾーン独立調整のエアコンが
徐々に増えていくのかもね。
とまぁ、このクラスのセダンとしては基本的に
文句のない居住性なのだが、ゴルフⅦの時と同様、
アクセルペダルがイケてない!
吊り下げ式のアクセルペダルで、踏み応えが
フニャフニャの安っぽい感触。
このクラスのセダンなら、ここはぜひとも
オルガン式にしてもらいたかった。
そして、これもゴルフⅦと同様だが、
アクセルペダルの横にごっつい出っ張りがある。
最初、その出っ張りをアクセルペダルと思って
踏んでしまったのだが、そのような紛らわしい
位置に出っ張りがあるのは最悪だ。
と、そんな出っ張りがあるせいで、
ペダル全体が内寄りに配置されていて、
これが何とも他車と差がありすぎるため、
慣れるまでは相当な違和感がある。
慣れればどうってことないのだろうが、
もう少し改善できないものだろうか?(-_-)
というわけで、
アクセルペダルの問題がなければ、
かろうじて5つ★を付けてもいいかなと
思ったぐらい全体としては良かっただけに、
あの吊り下げペダルと右横の出っ張りは残念だ。
静粛性・・・★★★★☆
基本的には静かだが、ゴルフⅦの時のように
感動するレベルの静粛性とまではいかなかった。
ただし、ゴルフⅦには無い良さが、
この新型パサートにはあった。
それは、アクセルを踏み込んで回転数を
グッと上げた時のエンジン音(排気音、かも)。
低く唸るそのサウンドにはがさつ感は無く、
ワイルドでありながらもトゲの無いサウンドで、
正直、「地味」な印象のパサートからは
想像がつかないようなスポーティーなサウンドを
聴かせてくれた。これはいい!
しかも音が直接的に入ってくる感じじゃなく、
少し遠くで鳴っているような、そんな感じがまた、
上質感をも演出している。
ゴルフⅦはとにかくひたすら静かだったが、
パサートにはそれとはまた違ったキャラクターを
持たせているようだ。
もちろん、基本的な遮音性は良いので、
無駄な雑音はあまり侵入してこない。
だから余計にいい感じなのだ。
パサートのイメージに合うかどうかはともかく、
俺様としてはあのサウンドと静粛性を
高く評価したいと思う。
というわけで、静粛性の評価としては4つ★だが、
印象としては5つ★を付けたいぐらいにいい感じ。
内装質感・・・★★★★☆
俺様がこだわるダッシュボードやドアの内張りは、
ちゃんとソフトパッドが使用されており、
まずは一安心。(^_^)
インパネも、スイッチ類周辺にはメッキの縁取りが
施されていて、ピアノブラックのパネルとの
コントラストもいい感じ。
そしてシートは標準でナパレザーシート。
高級感と呼ぶほどではないかもしれないが、
インパネ周りの質感との調和が取れており、
インテリアの完成度を高めている。
あと、本木目なのか木目調なのか知らないが、
インパネとドアにあしらわれたウッドパネルは、
パッと見の質感が若干イマイチながら
価格帯を考えれば充分に納得できる質感。
できればもう少し暗めの色合いのほうが
いい感じにごまかせたと思うのだが、
まぁ良しとしよう。
助手席側から中央にかけて直線的に配置された
エアコンの吹き出し口は、スッキリした印象と
高級車風な雰囲気を醸し出していて、
これもなかなかいい感じ。
だが、インパネの中央上部に配置されている
アナログ時計、これがイケてない!
文字盤が深い位置にあるため、運転席から
時計を見ると、周りが壁になってしまい、
10分~25分あたりの領域を針が指している時、
針の先っぽが隠れてしまって見えないため、
覗き込まないと何分なのか読み取れない。
ただの飾りとして付けた時計なのかもしれないが、
飾りなら飾りでもうちょっと凝ってほしいし、
リアルに実用を考えて付けた時計なら、
ちゃんと見えるかどうかぐらいチェックしてから
発売してもらいたいものだ。(-_-)
装備・・・★★★★☆
グレードがハイラインだけに、
装備はなかなか充実している。
全方位アドバンスド・セーフティということで、
やたらと安全装備系がいろいろ充実しているのだが、
そこから俺様の興味のない装備を差し引いても、
全体として4つ★は与えられる装備内容だ。
まず安全装備系で言えば、
・歩行者検知対応のプリクラッシュブレーキシステム
・全車速追従のクルーズコントロール
・自動でステアリング補正までしやがる
(してくれる)レーンキープアシストシステム
などは、当り前のごとく装備しており、
さらには、
・自動でアクセル/ブレーキ/ステアリングの
操作をして、あらかじめ設定された距離を
保ちながら、走行レーンを維持して先行車を
追従するという、渋滞時追従支援システム
など、一歩「自動運転」に近づいた機能までが
装備されている。
その他、俺様がありがたいと思っている
後方に対する安全支援装備、
・斜め後ろの死角エリアの車両を検知し
インジケータを点灯させ、その状態で
車線変更しようとするとステアリングを
自動で補正して接触を回避してくれる
レーンチェンジアシストシステム
・バックで出庫する際に、死角から接近する
車両の存在を警告音で通知する。
それでもドライバーが反応せず、
ブレーキ操作が不十分だと判断された場合は、
自動でブレーキをかけるという、
リヤトラフィックアラート
も装備されている。
面白いのは「ドライバー疲労検知システム」。
これは、ドライバーのステアリング操作を
モニタリングして、急なステアリング操作など
通常の運転パターンと異なる動きがある場合に、
インジケータの表示と警告音で休憩を促す
という装備。
検知精度によってはウザい装備になりかねないが、
うまく動作すれば、これはなかなか面白い発想の
装備だと思う。
あとは、
・ナパレザーシート
・運転席/助手席8ウェイパワーシート
・運転席ポジションメモリー
・シートヒーター/ベンチレーション
・自動防眩ルームミラー
・自動防眩(運転席)ドアミラー
・ヒーター、メモリー付きドアミラー
・リバース連動(助手席)ドアミラー
・オートライト
・SSDナビゲーションシステム
・8スピーカーのオーディオ
・リヤビューカメラ
・電動パーキングブレーキ(オートホールド付)
・パドルシフト
・ドライビングプロファイル機能
・パワーテールゲート
・3ゾーンフルオートエアコン
・インテリアアンビエントライト
・リヤ電動サンブラインド
など、基本的+アルファの装備は一通り
揃っている。
居住性の項目でも少し触れたが、
特に、シートヒーターだけでなく
ベンチレーション機能までが標準装備に
なっているのは驚くべきところ。
この価格帯で、ベンチレーションまでが
標準装備されているのは珍しいと思う。
使ってみたけど、風の通りが良くていい感じ。
暑い季節には、涼しく快適に過ごす上で
効果的な装備だと思う。
そしてここ注目!
上記以外にも、今回、
「シートマッサージ」機能が
運転席に標準装備された。

試乗時にちょっと試しに使ってみたのだが、
正直、マッサージと呼べるレベルではなかった。
ランバーサポートが少しだけうねうねと
自動で動いてるだけ、といった感じだ。
なので、ちっともスゴくない装備なのだが、
これを「マッサージ機能」と称してしまうところが
ある意味スゴい発想だと思う。
「どこがマッサージやねん!」
と突っ込まれることを期待したネタ装備なのか、
マジで考えた装備なのかは不明だが、
マジだとしたら、日本のメーカーではあり得ない
あつかましさと言っていいだろう。
というわけで、
マジな装備だけでなく、笑いを生むネタ装備
までが仕込まれた、豊富な標準装備の数々。
俺様的には、4つ★の中でも
5つ★に近い側の4つ★という印象だ。
しかし!これだけの装備が揃っていながら、
なぜかヘッドライトはハロゲンが標準ときた。
向こうの国ではヘッドライトにこだわりが
ないのかもしれないが、ここ日本で買う場合、
オプションの「LEDヘッドライトパッケージ」は
必須のオプションと言えるだろう。
カーステ音質・・・★★★☆☆
特に感動するような音質ではないが、
まぁまぁ素直な音質というか、
低音から高音まで自然な感じで再生されていた。
ただ、ちょっと高音が物足りない気がしたので、
音質調整をイジってみたら、音にトゲが出るだけで
余計に安っぽい音になってしまった。
オーディオとしては安物感は拭えない。
まぁでも、クルマの標準装備のオーディオ
としては、まぁまぁマシな部類だと思うし、
ヘタに音質調整をイジらずにデフォルトの状態で
聴けば、特に大きな問題はない。
総評・・・★★★★☆
走りに関しては、正直ゴルフⅦのほうが
軽快感やなめらかさという点でレベルが
高かったと思うが、まぁゴルフⅦは別格として、
今回のパサートの走りも価格を考えれば
合格点を与えられるレベルだ。
居住性も高く、静粛性も上々。
その気になれば、いい感じのエンジンサウンドも
聴かせてくれるし、標準装備も充実している。
まぁ時折発生する加速時の微妙な振動や、
視認性の悪いアナログ時計、安っぽい吊り下げ式の
アクセルペダル、標準でハロゲンのヘッドライト
など、微妙に詰めの甘い部分もあったりするのだが、
全体としてこれだけのレベルの内容で414万円
という価格を考えれば、許容できる範疇だ。
必須のオプション「LEDヘッドライトパッケージ」
を付けると430万円になるが、それでも
内容を考えれば決して高くはないと思う。
まぁでも、外車としてはリーズナブルでも、
日本車との比較においては安いとまでは言えず、
諸費用と値引き込みでいくらになるか、
その額によってはかなり有力な候補に
なるのではないかと。
ただ、デザイン的には、プジョー508や
ジャガーXEと比べるとインパクトが弱く、
先代より良くなったとはいえ、
どうもパサートって地味、なんですよね。(^_^;
まぁそのへんも含めて、総合力でどのクルマが
俺様の愛車候補として頭1つ抜け出すのか、
まだまだわからないといったところ。
とにかく、新型パサート、価格を考えれば
素晴らしい内容のクルマであることは確かだ。
★重要なお知らせ!
当ブログは2018.9.30をもちまして、
「新・辛口クルマ批評」に移転しました。
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★庶民の方々へ忠告!
クルマの乗り替えを検討している方へ。
もしあなたにとって、
数十万円というお金が
小さなお金ではないのなら、
ディーラーの下取りに出す前に
必ず買取店の一括査定を
実行して下さい。
俺様も利用している無料一括査定サービス
俺様の経験上、業者によって
査定額に数十万円の差が
つくことはザラにあります!
ディーラーの言い値で
下取りに出したりしたら、
それこそ数十万円単位の損
をすることになりかねません。
買取店の一括査定で
最も高い値段をつけた業者に売れば、
買い替え候補のクルマだって
ワンランク上のグレードが
狙えるかもしれませんよ!
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★目次リンク
→ 試乗記の目次
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30代以上のサラリーマンの方へ。
俺様は動き出しました。あなたもそろそろ。(-_-)
→ クルマが好きだから、そろそろ人生の軌道修正
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